今週の一本

ADV、ノベルゲ、サウンドノベル、エロゲ、それ以外はRPGが大好きなゲーマーのゲームレビュー兼ゲームプレイ記録です。一週間に1本のクリアを心がけます。2022.10.30〜

PP -ピアニッシモ- 操リ人形ノ輪舞

ピアニッシモ・・・「とても弱く」を指示する記号。ppと表記されることもある。

 

パラノイア2作目ピアニッシモをクリア。タイトルは上の通りで音楽用語のピアニッシモから来ています。その名の通り音楽がテーマの作品です。主人公も不良系音大卒ピアニストってことで、こんなの絶対女にモテないわけがない。実際驚くようにたくさん女が寄ってきますし、簡単に又も開きます。まあ典型的なエロゲ主人公ですね。

 

 

以下ネタバレありの紹介と感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スウィングが足りないんじゃあ!!!

という声が聞こえてきそうなくらいジャズが流れるシャレオツなバーからスタートします。前作のカルタグラに陰鬱とした雪景色と比べると、わりと明るい感じでスタート。もちろん女たちもはじめからたくさんいます。

展開で言うと、まあやっぱミステリーがテーマの作品であるので殺人事件が起きるのには変わりありませんが、猟奇殺人路線ではなく、どちらかというと、音楽と雰囲気を楽しめるくらいに綺麗さを感じる殺人事件に感じます。どちらかというと切ない系。(まあ切ないのはカルタグラも変わらないかな。)

時代もカルタグラが昭和20年代に対してピアニッシモは昭和10年代。前の時代のお話なんですね。第一次世界大戦が終わり、次の大戦に備えて富国強兵に励むといった感じの日本が今作の舞台です。

 

個人的に思ったのはこの作品はちょいちょい江戸川乱歩ネタが作中に出てくるので、江戸川乱歩を意識してるのかな、と思いました。

この作品における殺人事件の元凶である、特殊な音波で他人を凶暴化させ、他人を操って人を殺させる道具「リフ=ラフ」というとんでもない銃が出てきます。

この銃を使って人を操って僕の考えた最強の軍隊を作り日本を列強国に負けない強い国にするという、まあ極右集団達のボスが黒幕ですが、この道具を作らせるためにわざわざ巷で噂の天才少女姉妹を誘拐してきます。その道具を作った少女(久遠)は悩みます。

 

私が直接手を下したわけじゃないけど、そもそも殺された原因は私にあるので、私が殺したのと同義ではないか?

 

私は昔読んだ江戸川乱歩の短編で、「何も知らない子供に避雷針に小便をかけるように言って、その子が小便をかけたら感電して亡くなった。しかしそれは事故として処理され、私に罪はない、私はこの魅力に取り憑かれてしまった。」といった内容の話を読んだなと思い出して、調べてみたら「赤い部屋」という有名作品でした。この「赤い部屋」のテーマはずばり「殺意のない殺人、死亡する可能性を高めて、自身の手を汚すことなく人を殺すこと」だそうです。

自分は殺人を犯したのではないかと、悩む主人公の葛藤、それに対して事件の全ての知っていて、主人公もその周りの人間達も黒幕でさえも、操っていたメインヒロインの久遠。天才超えてもはや神の視点から、登場人物達を見てる彼女が、主人公との日々を重ねる中で自分が手を汚さぬ殺人に疑問を持ち始めて苦悩や後悔が始まっていく様がこの物語の見所であり全てだと思います

 

ピアニッシモは音楽用語ですごく弱く弾くことを意味します。一見強面に見えてもピアニッシモの旋律で繊細な曲を奏でる主人公と、天才であるがゆえに自らの人生を呪われたものとして生きていかなくてはならくなった悲しい運命の女の子の、切ないラブストーリーが優しい旋律の素晴らしい音楽とともに楽しめる作品だったので、これは中々にやってよかったと思える作品でした。

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PP ピアニッシモ 操リ人形ノ輪舞 ビジュアル・ガイドブック (JIVE FAN BOOK SERIES)