今週の一本

ADV、ノベルゲ、サウンドノベル、エロゲ、それ以外はRPGが大好きなゲーマーのゲームレビュー兼ゲームプレイ記録です。一週間に1本のクリアを心がけます。2022.10.30〜

翠の海

私は洋館モノというジャンルが昔から好きだ。

今でも見知らぬ森を散策していたら古めかしい西洋風の洋館が目の前に現れて、怪しげな館の執事が「こちらへどうぞ。」と中に案内され、そこにはドレスを着た綺麗な少女が「うふふ、おかえりなさい。」とか意味深な言われて…という経験をしないだろうかと今でも時折妄想してる。

なんで好きかといえば、そもそも生まれて初めてノベルゲームに触れたのがかの有名な「弟切草」だったからかもしれない。映画化もされたし、たまになぜかドラマもやってた気がする。

 

私がはじめてプレイたのはPS版のやつですね。

双子の姉妹とかミイラとか半魚人とかもうたくさんのドキドキが詰め込まれていて、あとこれのせいで洋館には必ず双子の姉妹が欲しいという癖まで植え付けらてしまいました。

 

そんなわけで「洋館」「ゴシックな少女」「双子姉妹」これらの要素が入るエロゲにはすぐ食いつきます。そこで今回プレイしたのが翠の海。

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まずそもそもこのゲームOPの完成度が高すぎる。

霜月はるかさんの美しい歌声と幻想的な音楽が完全にゲームを盛り上げてしまっている。

動画の最中に青い鳥が出たり、白いドレス着たメインヒロインの女の名前が「みちる」ということでお気づきかと思いますが、ベルギーの有名な童話、兄チルチルと妹ミチルの「青い鳥」がモチーフなのかと思います。

でもプレイした自分が思うに

え、これどちらかというとヘンゼルとグレーテルじゃないの!?

個人的には思いました。以下その理由。(ネタバレあり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘンゼルとグレーテルは有名なグリム童話

この話はご存じの方も多いと思いますが、中世ヨーロッパの飢饉が流行ったせいで、貧乏な家庭の親が口減らしのために子供を捨てていたという残酷な現実を後世に伝えるために作られた作品という見方もあるそうです。

つまりこの話はそれぞれの事情で親に捨てられた子供たちの話なんですね。

話変わって今日たまたまネットフリックスで藤井道人監督、横浜流星主演の「ヴィレッジ」という映画を見ました。この映画はとある田舎村がゴミの廃棄施設によってその恩恵から発展していくという話なのですが、ゴミ処理という仕事上、汚い話や裏金なども動き、そこに村社会の陰湿さ、多少村人の何人かが犠牲になっても、村そのもののためにひたすら隠蔽を積み重ねていき、そこには道徳心も何もない人間の汚さ、非情さ、異質さを映画全体で描き切った面白い作品でした。

 

この映画を見て感じたのは臭い物にはひたすら蓋をしていこうと積み重ねていった人間が最終的に背負う罪の重さ、人の命をたとえ殺めることになっても、自分の幸せのための犠牲ならやむをえまいという気持ちと罪を犯している自分との葛藤。

 

人間はどうしたって罪を背負うことになるんですね。

 

翠の海のメインヒロインのみちるは、親に捨てれた子供たちが集まって暮らすこの洋館で寮母さんのような役割をしています。ここで暮らすためには「自分の置かれた状況に疑問を持たない、当たり前のものと受け入れる。」「洋館で暮らす子供達を傷つけたり、喧嘩などのトラブルを絶対起こさず、みんなで仲良く笑って暮らす。」最低限この二点を守って空気を読んで暮らしていればいいのですが、もしこれが破られるようなことがあってしまうと、他の子供たちにも影響を与えてしまい、全員が発狂してしまうため、みちるやその一部事情を知る仲間達による間引きが行われます。

 

 

彼女のメインルートでは主人公と結ばれ、ハッピーエンドに向かう前に彼女が間引きによって殺してきた子供達に「あなた達を殺しておきながら幸せになってしまいごめんなさい。」と謝るシーンがあってそれが好きです。さらに好きなのは主人公も彼女の罪を肯定します。「あなたのやったことは罪だ。どんな理由があっても絶対に人を殺すことは許されない、一生背負っていかなくてはいけない。」

 

私は罪を背負って生きていく人間が好きです。人は罪を自覚してそれでも人生を生きていかなくていけないのです。