今週の一本

ADV、ノベルゲ、サウンドノベル、エロゲ、それ以外はRPGが大好きなゲーマーのゲームレビュー兼ゲームプレイ記録です。一週間に1本のクリアを心がけます。2022.10.30〜

カルタグラ~ツキ狂イノ病~

Innocent Greyパラノイアを購入したためカルタグラをプレイ。

www.gungnir.co.jp

サスペンス、ミステリー、インモラル系などのジャンルエロゲではかなり有名な作品。第二次世界大戦が終わり、終戦後の日本(昭和20年代くらい?)が舞台。

一言で言うと「昭和初期版多重人格探偵サイコ」といった感じでとにかく猟奇殺人の死体描写に気合が入っている作品だなあという印象を受けた。エロ描写のみならず、その辺の表現のためにも18禁というレーテルが必要な作品に思う。主人公は娼館に間借りさせてもらっている戦争帰りの元刑事の私探偵。そんな日々の中、昔の刑事時代の上司からとある「人探し」のワケアリの依頼を頼まれる。そこから始まる今上野で起きている奇怪な女性連続殺人事件と絡んできて…みたいな具合に物語が進んでいく。とりあえず

「謎解き」「カニバリズム」「謎の新興宗教」「腐敗した警察」「基督系女学校」「戦時下の謎の超能力開発研究」「麻薬」「戦後帝都の遊郭や貧民街での下層で暮らす人々」

これらのワードを出すだけで、好きな人にはピンとくるのではないだろうか。これらがたくさんつまった欲張りセットです。

ちなみにタイトル画面からそうなんだけど、本当に雪景色の背景が多く、和装と雪景色の映るシーンがめっちゃ映え。

雪景色はこの作品の最も特徴的な要素の1つですね。

 

ちなみにカルタグラの発売したのって2005年4月なんだけど、同じ2005年の同期達の作品を見ていくと…

 

処女はお姉さまに恋してる天使ノ二挺拳銃SEVEN-BRIDGEパルフェあやかしびとSWAN SONGnarcissuグリーングリーン3、最果てのイマつよきす、夢幻廻廊、夜明け前より瑠璃色な、鎖、群青の青を越えて、Fate/hollow ataraxiaAYAKASHI、車輪の国 向日葵の少女、智代アフターユメミルクスリ…etc

 

 

 

こいつら黄金世代だろ

 

 

今でも語り継がれるような超名作やジャンルの走りのような作品ばかりだよね。やばいぞ2005年組。もちろんカルタグラもその1つ。

 

以下ネタバレありの紹介と感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体的にサクサク進む物語に好印象。何人かの女性の個別ルートはあるもののほとんどがBAD ENDだったり、打ち切りエンドみたいなやっつけ感ですぐ終わるので実質はメインヒロイン和菜のルートを辿り事件の真相へと迫っていくという非常にわかりやすい一本道ストーリー。でもわりと予想しない部分でどんでん返し展開がポンポンくるのでプレイしていてそんな飽きもこない。

 

個人的にはこの作品の舞台である戦後日本、その中で鬱屈した思いで暮らす人々、貧民外…といった空気感が好きだった。主人公の暮らす遊郭では戦争孤児の女の子や戦争で旦那が帰らない寂しさから不倫に走り家を勘当され、行き着く場所もなくなった女といった人間たちが働き、黒幕の刑事も命をかけて戦争から帰ってきたら、自分の妻が変な宗教の教祖に寝取られていたり、戦争のためのナチを模した実験施設にいて狂気に染まり猟奇殺人に走った男などと、皆結局、戦争のせいで大事なものを失った人々がたくさんいた。主人公もその一人で、警察をやめてからはどことなく厭世的な暮らしをしている印象を受けた。

 

最近やったきゃべつそふとの「さくらの雲*スカアレットの恋(通称さくレット)」

も似たような近現代の日本が舞台の作品。ただしこちらは大正時代が舞台で関東大震災が起きる前の第一次世界大戦後の日本が舞台であるため、どちらかといえば優雅な帝都で華やかに暮らす人々、という世界。対してカルタグラ第二次世界大戦後、敗戦国となり復興を目指す日本の最下層社会で暮らす人々が登場人物のため全体的に空気が重い。そりゃ猟奇殺人や宗教といった妄執に走る人がでるわけだ。

 

さくレットが好景気の作品なら、カルタグラは不景気の作品。

 

そんな不景気な世界にポンと放り込まれてゲームがはじまるわけだが、この作品で感じたのは、なんか既にいい関係ができてる仲いい友達グループに突然放り込まれて「今日から君はここで仲良くしてね。」と言われ、まあしょうがないのでみんなといるが、たまに自分がいなかった頃の話でみんなが盛り上がっていて「あははー、そうだよねえ・・」となんとなく相槌を合わすような置いてきぼり感があった。そうこの作品わりと既に人間関係や過去の話とか、前作あったんじゃないですか?ってくらい、出来上がっているのだ。急にぽっと出た女の子がいるかと思ったら、昔彼女が幼い頃に事件解決したとか。まあそういう設定だと割り切ればそれはそれでいいんだけど、なんかこう、その辺もっと詳しく!みたいな気持ちも起きてしまう。ただ逆に言えばそれがある意味リアリティを感じたり、ダラダラ過去話ばかりやっていたらそれはそれでダレたこんなテンポいい作品にはなっていなかったろうから、これはこれでありなのかもしれないし、むしろ続編で明かされる展開とかもあるしね。

 

あと音楽は、宗教施設の乗り込んだ時に流れたりする鐘の音がチリーンと鳴るあの曲が本当に最高すぎる。不気味さと美しさがあそこま融合して聞き入ってしまう曲は中々ない。

 

一番好きなヒロインは誰だろうと考えるとやっぱり凛かな、次点で初音。

つーかエロゲとして魅力的なのかマジで遊郭の女性ばかり

姐さんとかマジで人情ありすぎて、めっちゃいい人。「赤線街路~昭和33年の初雪~」みたいにもはや遊郭を舞台にしての人間ドラマのエロゲにしてもよかったんじゃないかってくらい魅力的なキャラクターがいっぱい出てきた。あと宗教に嵌った双子が施設で汚いおっさんといいことしてるシーンは

 

ムホホホホ!!!

 

となった。

 

最終的に何のゲーム?と聞かれれば

 

ヤンデレが壮大な恋をするゲーム

 

というのが正しいのだろうか。俺が主人公だったら和菜ではなく由良を受け入れてしまうんだけどなあ。

 

カルタグラ ~魂ノ苦悩~(通常版)

 

アーキタイプ・アーカディア

www.kemco.jp

ケムコアーキタイプ・アーカディアをクリア。

そもそもやるきっかけはシナリオライター買い。もう既に何作かプレイしてるRさんの最新作。この方はシナリオのみならず作画もやっている(しかもかなりの高クオリティ)のため天才っているんだなってことを実感させられます。ちなみに氏の作品の中ではじめてプレイしたのは「結婚主義国家」という作品。

water-phoenix.com

これはかなりお勧めで、オムニバスの人間ドラマが好きな方は絶対にやったほうがいい。物語の線と線がつながる快感と高校卒業後、結婚しなければ死刑になるというトンでも世界観なんだけど、それでも物語を破綻させずにここまでおもしろい作品を作れるのは素直にすごいと思う。

他にも「一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう」や「最悪なる災厄人間に捧ぐ」もプレイ済、この二つは結婚主義国家と打って変わってかなりダークな感じのSF色が強いのだけど、それでも面白く、妙な魅力を掻き立てる作品ですので、どちらもお勧め。

今回のアーキタイプアカディアも一緒に行きましょうと同じような人類滅亡後の世界が舞台となっているので、SF色が強めで、そこにSAOみたいな体感型MMORPGの世界を取り入れた異世界ファンタジーSFとなっている。そこから世界の謎を解き明かしていくのがこのゲームの魅力の一つかな。

 

以下ネタバレありの紹介と感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つーか、ケムコのゲームってコスパぶっ壊れてね!?

これってケムコの他のゲームにも言えることだと思うんだけど、この会社本当にゲーム価格安くて希望小売価格が4000円くらいで、実際の店舗だと3000円前後くらいで販売されてるんだけど、これ下手なフルプライスエロゲよりも全然ボリュームあります。まずすごいのがイラストに一切手抜きなし。わりとちょい役で一瞬しか出ないモブとかにもしっかり立ち絵つけてて、まじ恋かと思うくらい多かった

スチルの数を数えたら差分抜きで240枚。使いまわしも全然なく、物語中各キャラの回想シーンがワンピースばりにちょいちょい入るのだが、それもしっかり紙芝居みたいなスチルが用意されていて本当にわかりやすかった。

シナリオボリュームも前作の災厄人間がわりと2,3日くらいでクリアした印象だったから短いかと思いきや一週間以上はかかってしまったため、めちゃ長かった。はじめに紹介された5つのエリア全てでしっかりイベントこなしていくとは思わなかったよ。アニメ化したら間違いなく最低2クールは必要になるボリュームです

キャラクター達のイラストは本当に女の子がみんな可愛かった。異世界ハーレムを俺が作るとしたら、間違いなくこの子達をいれたいなと思うくらいRさんの画力とイラストセンスには感謝しかない。日輪騎士団の制服なんであんなにエロイんだろう…。でもアルティアもエロイ、リアもエロイそしてスティは俺の妹だ。

 

肝心の物語の中身について。

アバターというまあ手持ちポケモンみたいなキャラクターを「記憶カード」という形で管理して、自分自身の思い出の強さや共感力から戦わせるという設定ははじめてみたのでそれはおもしろかった。作中のキャラが

これは自分の過去と一緒に戦うゲーム。過去と戦うわけじゃない。

と言っていたのが印象的。他人の記憶カードをうばって人様思い出を使っても戦える。それには共感率という最大100%までいく数値を上げれば上げるほどカードは強くなるため、いわゆる感受性が高い、他者を思いやれる気持ちが強い人が強キャラになる印象を受けた。ただし100%にいけば最強がなわけじゃなくて、そこまでいくとモンスター化していわゆるまどマギの魔女化みたいな状態になってしまうため80%くらいが一番調子がいいという妙なリアリティのある設定もよかった。そのバランスをとるのが難しいんだよね、人間関係と一緒。うまく距離を取らなくてはいけない。(これはコミュ力のゲームだな。)

ちなみにそんな中で主人公は初っ端からちょっと感情が欠如したサイコパスっぽい子に見えるんだけど、ゲームを通して様々な感情を学んで、自分がこうしたい、と思う気持ちを身につけていく様にはちょっと感動した。

いわゆる現実としての荒廃した未来と、SAOみたにゲームに閉じ込められている人々という二重世界を行き来して進んでいくストーリーと最終的には地球人を実験体にした異星人という設定も出てきたりして、まあ本当にSFしてる。

 

でも個人的にはこのゲーム、SFとして楽しむよりは、キャラクター達が人間という者の醜い有様に悩み葛藤して、各々が自分の信条や理想を求めて闘いあう姿、それでも人間は美しい、間違いなんかないってことが作者伝えたかったテーマなのかなあと思う。原罪病は、人間の本質であるが、それでも我々は生きていかなくてはいけない。

 

ケムコ作品としては2作目になる本作。Rさんの次回作、また楽しみにしています。

 

アーキタイプ・アーカディア - Switch

 

キコニアのなく頃に「phase1 代わりのいる君たちへ」

07th-expansion.net

最近PS4版のうみねこのなく頃に咲をプレイした。実に10年越しにやる真相を知った上で再プレイし直したうみねこは2週目だというのに飽きも来ずめちゃくちゃ面白かった。そんなわけで竜騎士熱が上がり、久々に07Expansionの公式サイトを見てみたら、あるじゃないwhen they cry5が。

ちなみにthey cryシリーズって前4作はどうなるんだ?と調べたら

 

1.ひぐらし

2.ひぐらし

3.うみねこ

4.うみねこ

 

ときて5作目キコニアに続くらしい。ひぐらしうみねこで2作品かと勘違いしてたから、3作目は彼岸花の咲く夜に?4作目はローズガンズデイズ??と思ってた。今回のキコニアには前作の魔女たちのようなメタ世界要素が出てくるのかなあ。

 

以下ネタバレありの紹介と感想

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?なにこれ、まさかのSF!?

しかもわりとディストピアものっぽい。前知識なしでやったので、とりあえず状況を理解するのに苦労した。世界観設定は第三次世界大戦が終わってから100年後の未来。しかも8MSとかいう謎の超物質の発見で世界はその恩恵を受けて何かとみんないい暮らしをしている(例えば四季は過去の概念で一年中適温だとか、地震のような天災は大した被害にならないだとか。)スマホはもちろん脳内スマホ、現実では授業受けながら、脳内スマホでゲームをしながら、友達とグループチャットみたいなことも当たり前に行われてるうらやましい世界。

 

主人公達はガントレットナイトという、まあ要は鉄腕アトムみたいな力をもった少年兵少女兵となり、第四次世界大戦が起きかけてる世界の中で必死に平和を叫び、自分達を戦争の道具として利用する汚い大人達へ「俺達は絶対に戦争はしない、誰も殺さない!無血でこの戦いを収束させる!その力が俺達にはある!」という理想をかかげながら、現実の壁に躓くたびに、この社会、いやそもそも人間とは存在していいのか、そんな哲学的な問いかけをひたすら考えさせられていく。

 

またそんな子供VS大人みたいな哲学がテーマかと思いきや、人類の終わりを目論む「三人の王」達の存在、ひぐらしのタカノみたいな風貌の地下で天才達が集ってなにやら研究してる施設、終末論や陰謀論もドンドン出てきて、作品の言葉を借りるなら、まさに「超未来ハードSFのお子様ランチ」である。デザートまで沢山でもうお腹一杯。

そもそもプレイするまえに

 

キコニアってなに??

 

と思ってプレイしてるうちに「キコニアが子供を運ばなくなった世界」というワードがやたら出てくるので、まあコウノトリみたいもんだろう、と考えて、ググってみたらキコニアってコウノトリの学術名らしいですね。ちなみにこれがこの作品のディストピア感を強める要素で主人公達の属する国(国というよりは連合国かな。)では、子供は工場で作られるという試験管ベイビーみたいなものが当たり前となっている世界となっていることが物語りの途中で判明する。「親がいるってどんな感覚なのかなあ。」と友人に言われる主人公。ただこれは主人公達の属するAOU(日本の半分とアメリカ、ロシア、カナダとか)が工場で子供を作る選択を踏み切った先進国であるだけで、近隣のCOU(中国とインドを中心としたアジア近辺地域、国旗も赤いし旧共産圏を意識してるのかな)では第三次世界大戦前の価値観を大事にしている文化から、今まで通りの親が子を生んで育てるって暮らしをしていたりと、それは国によってまちまち。まあおそらくこの設定が後々にこの作品の大きなキーワードになるであろうから、キコニア(コウノトリ)をタイトルに入れたんだろうなあ。

 

今回はとりあえずこの世界観を受け入れて、それを理解するまでの序章といった感じで、こんなにワクワクする設定を作れるのはすごいと思った。

 

大人達が子供達を利用して自分達の私利私欲のために戦争を行う。それに反抗する少年兵たちの熱い誓いやラストシーンで不殺の誓いをしあった仲間たちが運命の流れには逆らえず、子供達同士で殺し合いをはじめて、手を血に染めていく様は涙が出た。彼らはただはじめは空を飛びたいと思った。世界中の仲間達と楽しくお喋りをして歌を最後まで歌っていられると思っていたのに。

 

自分もしばらく07th Expansionから離れていたので、久々に竜騎士熱が上がって調べたらあったので手を出した作品だったがよくみたらこれ2019年発売なのね。よくよく調べてみたら2020年発売予定だった2作目は、新型肺炎パンデミックの影響で作品のテーマ的に伝えたいメッセージに誤解が生じる恐れがあるとかみたいで、延期が発表されたらしい。

 

もう2022年ですよ。

 

phase2が出たら絶対やるから早く新作でないかな。

 

キコニアのなく頃に/白金のエンピレオ